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2008年07月22日

『サブプライム問題の正しい考え方』

2008年7月26日
倉橋透・小林正宏 共著 『サブプライム問題の正しい考え方』 中公新書、2008年
當銘由樹
森田 仁
湧田勝美

(概要)
(第1章)
○サブプライムローンとは? -信用力の低い債務者向けの住宅ローン-
○サブプライムローン問題の発生
・原油価格高騰 → 別の金融商品への投機資金流入
・雇用 → 大幅なリストラが実施された。
・円高ドル安 → 対米輸出減少につながった。
・株価の下落
・日本の実体経済への影響

(第2章)  焦げ付いたサブプライムローン
○アメリカの住宅金融
・住宅ローン市場の規模、2007年末残高・約10.5兆ドル。
(約六割は証券化、連邦政府機関もしくは、組織が発行・保証するエージェンシーMBS)
・住宅ローンを「モーゲージ」と呼び、与信審査を行い、貸出を行うモーゲージ・バンク。
・サブプライムローン・・民間ローンうち、残高ベース13~15%占める。→2年固定変動金利型、六割占める。
・サブプライムローンの出発点・・リスクに見合った金利設定し貸出→ビジネスチャンス。
・モーゲージ・ブローカーの存在・・融資成立→高い報酬体系のため、ローンを組ませる。
○逆回転し始めた歯車
・ 延滞が顕在化・・史上最低の金利水準→固定期間が明け、変動金利に移行時、市場金利上昇→利用者直撃。それから住宅価格上昇せず、金融機関の融資審査が厳しくなる。

(第3章)  国際金融市場への波及
○金融機関の損失・破綻の初期症状
・2007年、世界同時株安の原因の一つ・・サブプライム業界第二位のモーゲージ・バンク、ニューセンチュリー社が破綻した。
・サブプライムローンを融資した金融機関が次々に破綻したのは、証券化のからくり。
→金融機関の多くは資金の少ないノンバンク。→いわば自転車操業のような資金繰り。
○証券化と格付けの問題
・格付け機関による原債権のデフォルト見通しが甘い。
○ヨーロッパへの飛び火と短期金融市場の混乱
・金融システム全般に対する不安への拡大・・風評被害により、預金引き出しの列。そこで、欧州中央銀行は、大量の資金供給を行い、市場の安定化を図る。
○アメリカ政策当局の対応と景気の減速
・「証券化」はリスクを細分化し、投資家が適切な評価を行い、適切な価格設定を行うことが必要。しかし、現時点は、サブプライム関連証券化商品の情報開示は不十分。→必要以上に価格が下落している可能性。→透明性の高い金融インフラ整備が必要。

(第4章)
○「3年固定1%ローン」は日本版サブプライムローンと言える。
○十分な情報開示が必要だ。
○望ましい金融システムのあり方。

(第5章)
○今後の日本経済は厳しくなると見られる。
○日本がしておくべきことは、内需拡大と省エネルギー型社会の形成、代替エネルギーの開発を進めることである。



(論点)
・FAHでの救済人数が、予想よりも大きく下回ったのはなぜか。
・FRBは政策金利の引き下げを行うと、「カネ余り」が生じることを予想できなかったのか。
・問題があるにもかかわらずサブプライムローンが創られたのはなぜか。
・債権譲渡や証券化の際に、情報の透明性を上げるには、どういう対策を施せばよいのか。
・日本の金融機関は、サブプライム問題が与えてくれた教訓を、今後どういかされ、よりよい金融サービスを提供するのか。


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Posted by e061246 at 22:53│Comments(0)ゼミ
 
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