てぃーだブログ › 高畑ゼミBlog › ゼミ › 『グーグル・アマゾン化する社会』

2008年07月07日

『グーグル・アマゾン化する社会』

2008年6月28日
グーグル・アマゾン化する社会
三年次 森田 仁
當銘 由樹
安谷屋 邦尚
(概要)
今、世界は多様化に向かっている反面、一極集中的な現象が経済や政治などの中にいくつも見られる。このような現象はインターネットなどの情報の多様化が関係していた。
 世の中には、グローバル企業の台頭やロングテールという売上げの少ない多様な商品で、広く薄く利益を集めるという考えが注目され、国単位でなくあちこちに分散化したテロリストグループなどに見られるような多様化に向かっている。このような現象は、web2.0と呼ばれるユーザー参加型のインターネット技術の進歩によって、情報化が進んだことで起こっている。しかし、その一方でweb2.0の象徴と言えるアマゾンやグーグルなどに情報や利益が集まるという一極集中的な現象も起きている。

Amazonのアーキテクチャー(制度設計)
・ワンクリック特許(ワンクリックで購入決済ができるという仕組み)、リコメンデーション機能(別の商品を勧めてくる機能)、アフィリエイト・システム(ウェブサイトやメールマガジンに企業サイトへのリンクを張り、ユーザーがそこを経由して商品を購入したりすると、サイトやメールマガジンの管理者に手数料が支払われる仕組み)、カスタマー・レビュー(アマゾンで商品を購入した顧客自身が、その商品に対して記入する書評)などがある。
・ユーザー同士のコミュニティー的場を提供、ユーザーに自由に支店を出す権利を認める

ユーザーを呼び込み、ユーザーに便益を与えるという方向性がある

 Googleのアーキテクチャー
グーグルの提供する無料で使いやすいすべてのサービスはウェブ内で完結している。この利便性、容易さがユーザーにうけ、ユーザーはグーグルを利用する
→ すべてのデータがグーグルに収納され、グーグルのデータベースが充実する。
→ グーグルのウェブデータは増殖し、キーワードによるインデックスも増える。インデックス項目とウェブデータが増えれば、クライアントの広告表示もより精度があがり、セグメントされた形で提供できるようになる。
→ グーグルの広告事業はますます人気を集め、売上げを増やす。

ユーザーの利便性を向上させる一方、グーグルの収益につながる。

インターネットはスケールフリー・ネットワークと呼ばれる仕組みになっている。スケールフリー・ネットワークとは新しい結節点ができる時、多くのリンクを持っている古い結節点を優先的に、古くない結節点でも適応度があればさらに優先的に選ぶという特徴をもったネットワークのことである。特に空間的、物理的制約のないウェブでは、急速に一極集中が進む。
また、ある対象に対して人々が興味を示し、ある臨界点を超えると、一極集中的な現象が起こって爆発的に売れたり、大きな支配力や影響力を持ったりする、冪(累乗の意)法則も見られる。
ウェブでは、タグを使い自分の興味・関心のある情報だけを集めるパーソナライゼーションが進む。ミクシィのようなSNSでは、考えが異なる別の集団の意見を排除し、同じ集団内で考えが極端に偏る「集団分極化」が起こる。

 自動的に特定方向に誘導していくパーソナライゼーション機能や、リコメンデーション機能によって、いつしか方向が狭められていく。あらかじめ予測された範囲のものだけが推奨され、自分の意思とは関係なく範囲が規定されていく。
 スケールフリー・ネットワークの中で、情報の相互作用を意識しないと、個人はその大きなアーキテクチャーから影響を受けていると自覚できない。そうすると、情報は一極集中を起こし、自分のみならず、社会・経済・政治といったパブリックマターに、何らかの影響を及ぼす可能性がある。
 情報が多様化すればするほど、最適化された一極集中の情報を現代人は受け取ることになる。

一極集中的な思考を回避し、多様性を認知しつつ、主体性ある思考を持つことが、現代を生きる人々には求められる。

(論点)
 グーグルの収入源は検索に伴う広告事業であるが、著者の言うように検索自体を有料(p.126)にしなかったのは、検索を無料にすることでユーザーを増やし、ユーザーが増えれば増えるほど広告収入が増加すると考えたからではないか。
 このまま一極集中が進んで行けば、いつかは中心的存在以外の存在は埋もれて行き、ただ中心だけが存在する単一な社会が来るのではないか。

以上


同じカテゴリー(ゼミ)の記事

Posted by e061246 at 13:15│Comments(0)ゼミ
 
<ご注意>
書き込まれた内容は公開され、ブログの持ち主だけが削除できます。